もの忘れ
もの忘れ
誰でも歳をとってくると「もの忘れ」をするようになります。
しかし、認知症の「もの忘れ」は単なる正常な老化によるものとは異なります。たとえば、昨日友達と会って食事をしたことを忘れて思い出せないといった、出来事(エピソード)自体を忘れてしまう「もの忘れ」です。
このように出来事を忘れてしまうような「もの忘れ」が頻回にあると日常生活・社会生活に支障が出てきます。
ものごとを記憶する、判断する、順序立てて行うなどの脳の機能を認知機能といいます。認知症は、認知機能が低下したために、日常生活・社会生活に支障があるようになった状態を指します。多くの場合、徐々に認知機能が低下し認知症になります(図1)。認知機能が正常とはいえない、しかし認知症ともいえないグレイゾーンの状態を「軽度認知障害」とよびます。すなわち、軽度認知障害は、正常と認知症の中間的な状態で、もの忘れが目立ちますが日常生活には支障がない状態を指します(図1)。
現在は、この軽度認知障害の段階で発見して原因を診断し、治療方針を立てることが重要なポイントになっています。
社会の超高齢化に伴い、認知症の人は急増しています。誰でも認知症になる可能性が高いのです。
認知症や軽度認知障害の原因にはさまざまな病気があります。
大切な点は、原因の病気によって治療法や予防法が異なるということです。ですから、できるだけ早く発見して、原因になっている病気をつきとめ、適切な方針を立てることが大切です。「もの忘れ」が心配になったら、なるべく早めに脳神経内科を受診することをお勧めします。
ご自分やご家族の方に、以下のような症状がみられる場合は、ご相談ください。
認知症をきたす疾患
アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・脳血管性認知症・前頭側頭葉型認知症 など
認知症のような症状をきたす疾患
正常圧水頭症・てんかん・甲状腺機能低下症・ビタミン欠乏症 など